3/9(月) セミナー「偽情報を見分ける方法」開催

2026年3月9日(月)に1DAYセミナー「偽情報を見分ける方法」を中日文化センターで開催します。よろしければ、こちらからお申し込みください。

インターネットの普及、SNSの浸透でさまざまな情報が溢れる中、偽情報が巧妙に皆さんに近づいてきます。人がなぜ偽情報に騙されてしまうのか、偽情報はどのようにして作られるのかを知り、どう偽情報を見分けることができるのかについてお話しさせていただきます。

竹内好文

  • 会 場:中日文化センター栄
  • 内 容:「偽情報を見分ける方法」
  • 日 時:2026年3月9日(月)13:00-14:30
  • 受講料:2,750円(税込)
  • 講 師:竹内好文
    株式会社Y&H代表
    慶應義塾大学サイバー文明センターWGML研究会メンバー
  • 申 込:中日文化センターHP

インターネット上のニュースを、無検証で信頼してはいけない理由

無料で楽しめる民放ラジオテレビの収入源は広告

日本で初めての民間ラジオ放送が始まる1年前の1950年、当時、電通の社長であり、東京放送創立準備委員長を務めていた吉田秀雄は、民放開始に備えた放送法案審議の参議院公聴会に招かれ、放送法の第1条にある「放送における表現の自由」について意見陳述した。この放送法における「放送における表現の自由」とは、「NHK以外の民間事業者にも電波の使用を許す」というものです。こちらにこの意見陳述の全文を転載しますのでご参照ください。

吉田は、NHKは受信料という大きな安定財源を持つのに、民間放送は広告収入だけで運営されることを前提にしているため、民間放送局が乱立すると広告収入が各局に分散化して共倒れになる可能性が高いことを当時の日本の広告マーケットの現状から理路整然と説明し、当面は1地区1放送局での民間放送のスタートを提案した。そして、この吉田の提案が採用されることになった。

電波利用は国の許認可事業で、元々、NHKしかその利用を認められていなかった。その電波利用を民間に開放する。そして民放の創設時に、広告がその財源として充てられた。

しかし、民放は国の許認可事業であり、放送法に従って、その報道活動は適正に行われる必要がある。当然、広告の影響を受けてはならないことになっている。民間放送局は、良質な番組を国民に提供し、その評価の結果として多くの国民が番組を視聴する。多くの視聴者を得た結果として広告収益の増加につながるものでなければならい。

また、広告に関しても、民放は広告表現の審査を厳密に行っているだけでなく、広告を取り扱う広告会社についても考査を行なっており、広告に詐欺業者が紛れ込むことはない。

無料の検索サービスの主要な収入源は広告

わたしたちは、無料でGoogleの検索サービスやInstagramなどのSNSが利用できる。それは民放同様にそのサービスが広告を主要な収入源として利用しているからだ。

Googleは、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」を企業のミッションとして、サービスを提供している。その根幹にあるのは、人々が検索する情報にマッチする検索結果を提供する検索アルゴリズムである。そして、Googleのサービスは広告収入で維持発展している。

従って、Googleの無料の検索サービスも民放同様に広告で支えられていることになる。Googleもラジオテレビ同様にその検索結果に広告が影響を与えないように、純粋な検索結果と広告枠を明確に分けている。

テレビやラジオには前述のようにシステム的な広告主および広告表現の審査対策が整っているため、番組や広告に詐欺情報が紛れ込むことはないが、Googleの検索結果はどうなのだろうか?

テレビ同様のパブリックサービスとなったGoogleの検索結果に詐欺サイトが表示される

もはやパブリックサービスとなったGoogleの検索であるが、その検索結果に詐欺サイトやフェイクニュースサイトが紛れ込むことがあり、「SEOポイズニング」などとその問題が指摘されている。

詐欺業者は、セキュリティの甘い既存の正規サイトをハッキングし、そのページを検索結果に残したまま、クリックした瞬間に詐欺サイトへ飛ばす設定(リダイレクト)を仕込む。Googleは「内容のある正規サイト」としてインデックスしているため、表示されてしまうのである。

GoogleはAIを活用して信頼性を判断しているが、サイト運営者の実在性確認を行うことが現時点ではできないため、その信頼性判断にも限界がある。

また、詐欺業者はAIに「高品質なサイト」と誤認させるよう、大量の偽レビューや関連性の高いキーワードを自動生成して対抗している。

もちろん、Googleも、この問題を見過ごしているわけではない。この問題に対処するために毎日数十億件のスパムを探し出し、ブロックしているものの、新しいドメインや手法が次々と生まれるため、システムが「有害」と判断して除外するまでに数時間のタイムラグが発生し、その間に検索結果に載ってしまうのである。

しかし、普通の消費者は、テレビ局同様に信頼性のあるGoogleの検索結果に詐欺情報が載るなどとは想像することもないだろう。

しかし、事実は違うのである。Googleでも見抜けない詐欺情報がGoogleの検索結果に紛れ込む可能性がわずかではあるかもしれないが、あるという事実を知るべきだ。

無料で情報提供するホームページの主要な収入源も広告だが…

国によって事情は異なるが、日本では新聞社を規制する法律はない。日本の新聞社は日本新聞協会という業界団体を共同で運営し、団体に参加する新聞社の総意として新聞倫理綱領を作り、その遵守を参加新聞社に求めている。業界の自主規制である。

伝統的な多くの新聞社などは購読料を支払っていないと、全ての情報を読むことができないが、今や、新聞社以外で世界のニュースを無料で発信するさまざまなインターネットニュースメディアがある。それらの発信者の主要な収入源は購読料ではなく、広告である。Googleなどのプラットフォームの広告枠をページに設置して広告収益を得ている。

もちろん、インターネットのニュースメディアを規制する法律もない。しかし、それらの中で、倫理綱領を公開し、その遵守を読者に約束しているメディアは多くはない。組織的に運営されているメディアならともかく、広告収益獲得目的で個人が運営する形態のメディアにそのような問題意識を持つものは少ないだろう。なぜなら、所詮、広告収益の獲得が目的なのであって、正しいニュースの提供そのものを生業としていないのだから。

伝統的な新聞社とインターネットニュースメディアの違い

歴史ある信頼できる新聞社には、必ず編集方針があり、報道倫理の遵守をその記者に求めている。一方、メディアを称するインターネットWebサイトの中には、必ずしも、既存の報道機関が培ってきた報道倫理を重要視していないものもある。

信頼されてきた報道機関でも誤報をしないわけではないが、彼らは誤報をした場合には、訂正や記事の削除などを「報道」する文化がある。それは報道人、報道メディアとしての矜持である。

その矜持の根底にあるのは、自らの記事が広告ではなく、読者の購読料で支えられている事実である。

従って、購読料ではなく広告を主要な収入源とするインターネットメディアのニュース製造現場に、既存の報道機関にあるような報道陣としての矜持を求めることは無理がある。

つまり、広告収入が得られればよいのではれば、誤情報を発信しても、誤報を「報道」する動機は生まれ得ないだろう。

インターネット上の情報の信頼性確認には、セルフ・ファクト・チェックが必要。

YouTubeのチャンネル、Xの投稿、ブログなどさまざまな手法でニュースが日々インターネットに発信されている。

私見であるが、それらの多くは、取材した根拠のある情報ではなく、多くが意見でしかないことが多い。それは、前述したように、インターネットの情報が広告収益目的で発信されているケースが多く、規制の対象にもなっていないからだ。

そして、残念なのは、間違った情報を発信した人がそれを訂正した事例を私は知らないことだ。

もちろん、インターネットは有益な技術だし、YouTubeチャンネルにも役にたつ情報が多い。しかし、わたしは、有益なものの割合は決して多くはないように感じている。

私自身、インターネットで知った情報は無意識に信頼せず、セルフ・ファクト・チェックを行うようにしている。

私の場合、まずは、「誰が言っているのか」「その人はどういう経験を持っているのか」「ニュースソースを公開しているのか」などから、いろいろと調べていく。セルフ・ファクト・チェックをすれば、詐欺情報、偽・誤情報に惑わされることもなくなるはずだ。

参考文献

Googleの検索AIが、どのように「運営者の実在性や信頼性」を判断しているのか

Googleは、AIと「E-E-A-T」と呼ばれる評価基準、さらには高度なスパム検出システムを組み合わせてサイトの信頼性を判断している。

以下は、2026年現在、GoogleのAIが具体的にどのようなポイントをチェックしているのか、その主な仕組みである。なお、以下の情報はGoogleブログでの公式発表を参考にした。

また、Googleはサイト運営者の実在性を確かめる独自の手段は持っていないようだ。実際、既存のインターネット技術では、サイトの実在性を確認することはできない。

現在、その問題の解決のために、日本のインターネットの父として知られる慶應義塾大学の村井純教授が理事長を務めるOriginator Profile技術研究組合が、サイト運営者の実在性とWebページの作成者の証明書を発行するOriginator Profileの開発と社会実装を進めている。

1. 「E-E-A-T」による品質評価

Googleは、以下の4つの要素を中心にサイトの品質をスコアリングしている。

  • Experience(経験): 実際に商品を使った、あるいはその場所に行ったという「実体験」に基づいているか。
  • Expertise(専門性): 執筆者がその分野の専門的な知識や資格を持っているか。
  • Authoritativeness(権威性): 他の信頼できるサイトから引用されたり、リンクを張られたりしている「評判」があるか。
  • Trust(信頼性): 最も重要な指標。運営者情報の透明性や、情報の正確性が担保されているか。

2. AIによるリアルタイム・スパム検出

AIモデルは、人間には気づきにくい「詐欺サイト特有のパターン」を高速で分析する。

  • 不自然なパターン検知: 大量のコンテンツが短期間に自動生成(AI生成)されていないか、特定のキーワードが不自然に詰め込まれていないかをチェックする。
  • 相互参照(クロスリファレンス): サイト上の情報が、他の信頼できるソース(政府機関、大手ニュースサイト、公式ブランドサイトなど)と矛盾していないか、事実関係を照らし合わせる。
  • リダイレクトの挙動監視: 検索結果からクリックした瞬間に、URLが全く別の怪しいドメインへ転送される動きを異常として検知する。

3. YMYL(お金と命)への厳格な適用

YMYL(Your Money or Your Life)」、つまりお金や健康、安全に直結するトピック(ブランド品の購入、医療情報、金融など)については、AIがより厳しい信頼性基準を適用し、少しでも疑わしいサイトは上位に表示させないようにしている。

4. ユーザーフィードバックの学習

ユーザーからの「このサイトは詐欺だった」という報告や、検索結果ですぐにブラウザを閉じて戻ってきたという行動データもAIが学習し、評価に反映させている。

5. サイト運営者の実在性確認はしていない(できない)

Googleには数万人の「検索品質評価者(クオリティ・レイター)」という人間のスタッフがおり、彼らがガイドラインに沿ってサイトをチェックしているとのことである。しかし、世界中の数兆のページすべてをリアルタイムで調査することは物理的に不可能だ。

かつては、WebサーバーのSSL証明書発行時にCA(認証局)が、登記簿謄本などをチェックしてサーバーの運営者の実在性を証明していた。

しかし、2013年に非営利団体 ISRG (Internet Security Research Group) が設立され、無料で自動化されたCAの運営を目指して活動を開始。2015年12月には、無料のサーバー暗号化サービスであるLet’s Encryptのパブリックベータ版を開始し、誰でも無料でSSL証明書の利用可能になった。

Let’s Encryptの登場により、2016年当時に約40%程度だったウェブサイトのHTTPS化率は、現在では80%〜90%以上にまで上昇したといわれている。かつては「高価で手間がかかる」ものだったSSL/TLS証明書を、「無料かつ自動で更新される」当たり前のインフラへと変えたことが最大の歴史的意義である。

その貢献の反面、現在、詐欺サイトでもSSL/TLS証明書を持つことができるため、Googleでもサイト運営者の実在性確認はできないのである。

参考文献

美しくないインターネット広告を消し去ろう。

美しくないインターネット広告を消し去ろう。

わたしは、インターネットを閲覧するとき、Braveというブラウザーを利用しています。Braveは、インターネット技術界のレジェンドBrendan Eichが創業したベンチャー企業です。Brendanは、JavaScriptの発明者として知られています。

わたしは、広告人として長年仕事をしてきましたが、インターネット広告で「美しいもの」を見たことがありません。でも、Braveは、見事にその「美しくない広告」を消し去ってくれます。

特にYouTubeでは効果抜群なので、おすすめです。

見る価値もないので、人々は無意識のうちに無視をしているようで「バナー・ブラインドネス」という問題が1998年に広告業界に提起されましたが、どうも、今の広告業界の人たちには美意識のある人が少ないのか、放置されたままです。

見てもいないから気にしない方もいるかもしれませんが、広告が使用するデータ量は意外と多いので、みなさんのスマホのギガ数を無駄にしている可能性が高いです。

わたしは電通在籍中に、今のインターネットの広告のあり方を変える可能性があると思い、2018年ごろ、電通にBraveへの投資を提案しました。下の写真は、サンフランシスコのBraveオフィスを訪問して、協業を提案している時のものです。左端が私、右端のメガネをかけた男性がBraveのCEO、ブレンダン・アイクです。

プレゼンした後で、ブレンダンが、「Yoshi、僕が今まで出会った広告マンでここまでBraveのビジネスモデルを理解してくれた人は君が初めてだよ」と言ってくれて、私の提案は動き出して、1年ほどかかりましたが、Braveの日本法人が立ち上がり、ビジネスがスタートしました。

わたしは、定年退職で2022年3月に電通を卒業したのですが、残念なことに、今は電通とBraveには特別の関係はないようです。

Braveは、独特のビジネスモデルを持っていて、Webページの広告を全て消す代わりに、Braveのブラウザを利用するユーザーが広告視聴を選択すると、報酬として仮想通貨が支払われるというものです。私はもちろん、Braveの愛用者ですが、年間5,000円程度とほんの気持ち程度ですが、私の仮想通貨口座に振り込まれています。

さらに、Webサイトの運営者が、Braveのパブリッシャーとして登録しているなら、そのサイトを応援したいと思ったら、仮想通貨でチップを支払うこともできます。私自身、南三陸町の支援団体LOOM NIPPONの広報アドバイザーをしていて、そのWebサイトを運営しているので、Braveパブリッシャー登録をしています。月に1回ぐらいですが、Braveの仮想通貨BATでLOOMに寄付してくれる人がいます。

ブラウザBraveで出てくる広告の一例が下の写真です。新しいタブを作ると、全画面に広告が表示されます。これぐらいスペースもしっかりあれば、広告の作り手としても嬉しいです。

 

米国のデジタル広告での識別子の今

以下は、2018-03-19 に公開されたIAB Tech Labの記事を翻訳したものです。

識別子の謎を解き明かし、広告におけるその重要な役割を理解する

デニス・ブックハイム、アミット・シェッティ

「アイデンティティ」は、デジタル広告において、通常は消費者の識別とターゲティングという文脈で頻繁に使われる用語です。IABテックラボでは、消費者、クリエイティブ資産、そしてサプライチェーンに関わる企業など、より広い文脈でアイデンティティを捉えています。これらのアイデンティティを一つ一つ理解することは、後述する様々な目的に基づいて行われますが、いずれの場合も、最終目標は広告サプライチェーンのシステムがエンティティを認識し、様々なプロセスを効果的に運用できるようにすることです。これらの識別子は、不正行為の防止、ブランドセーフティの向上、消費者へのより良い体験の提供、そして測定とアトリビューションの支援といった、中核的な構成要素です。

この記事では、エコシステムにおける様々な識別子、その重要性、そしてIABテックラボをはじめとする機関がこれらの識別子に関して支援している取り組みについて解説します。

名前に込められた意味とは?

識別子とは、複数のインタラクションを通して、特定のエンティティを他のエンティティと区別して一貫して認識するための手段です。データベース用語で言えば、エンティティの検索を可能にする「キー」です。一般的に、機械可読で、互いに衝突する可能性が低く、一貫して利用可能な識別子が求められます。一方、「アイデンティティ」は単なる名前認識以上のものです。エンティティの近似値、つまりエンティティを記述するメタデータの集合体であり、プラットフォームがそのエンティティに関連する様々なビジネストランザクション(利益、測定、権利など)を実行できるようにします。

識別子には3つのカテゴリがあり、これらは私たちが関心を持つ3つのエンティティ、つまり消費者、(広告)資産、そしてデジタル広告サプライチェーンにおける企業に対応しています。

  1. 消費者ID – 個々のユーザーまたは世帯内のグループ(通常は匿名)を識別しようとしますが、様々なプラットフォームで利用可能なデータ(ログイン情報など)によっては、最終的にはデバイスやブラウザに紐付けられる場合があります。例としては、モバイル/OTT(Over-The-Top)デバイス上のCookie、デバイスID、IFA(広告識別子)などが挙げられます。
  2. アセットID – 広告サプライチェーンを通過する際にクリエイティブアセットを識別します。例としては、広告クリエイティブのAd-IDや、パブリッシャーの動画プログラムコンテンツアセットのEIDR(Entertainment Identifier Registry)などが挙げられます。
  3. ビジネスID – 広告サプライチェーンに関与する様々な企業を識別します。例としては、TAG(Trustworthy Accountability Group)やads.txt(Authorized Digital Sellers)などが挙げられます。

 

利用状況と現在の課題

  1. 消費者ID – 消費者IDは、個人または世帯に関連付けられます(理想的には個人を特定できる情報(PII)は含まれません)。その目的は、ターゲティングとパーソナライゼーションのためのユーザー行動と興味関心の把握、ユーザーが広告をどこでいつ見たかの評価(測定とアトリビューションのため)、そしてサイト、アプリ、デバイス間で既知のプライバシー設定を一貫して適用することです。これにより、プラットフォームはユーザーのニーズに関するインサイトを構築し、より関連性の高い広告を提供することで、より良いユーザーエクスペリエンスを提供できます。
    1. 例:ユーザー名、メールアドレス、Cookie、IDFA(Appleの広告用識別子)/RIDA(Rokuの広告用識別子)
    2. 課題:
      1. プライバシーの確保:ユーザーが興味関心に基づくトラッキングをオプトアウトした場合でも、フリークエンシーキャップなど、ユーザーエクスペリエンスにとって重要なユースケースがあり、一時的/一時的/合成IDが必要になる場合があります。また、多くのID(メールアドレス、Cookieなど)にはPIIデータが含まれているため、使用前にデータを処理し、匿名化する必要があります。
      2. データ損失の回避、トラッカーの過剰:異なるパブリッシャーやプラットフォーム間でのアイデンティティ管理は困難です。複数のCookieの使用はユーザーエクスペリエンスの低下につながり、データ損失につながる可能性も高くなります。
      3. 透明性と標準化の欠如:多くのサードパーティ製アイデンティティソリューションは、デバイスと個人や世帯を関連付ける独自の技術に依存しているため、これらのプロセスの厳密性に関する透明性が欠如しています。また、カバレッジ/一致率、精度/正確性、再現率などの検証指標に一貫性がなく、異なるマーケティング目標に対するソリューションの最適な評価方法や差別化方法についてコンセンサスがほとんどありません。
      4. 複数デバイス間のアイデンティティ:理想的には、企業はより効果的なターゲティングと測定を実現するために、複数のデバイス(携帯電話、ノートパソコン、OTTデバイス)間でユーザーを識別したいと考えています。しかし、こうした「デバイスグラフ」の構築は難しく、世帯やオフィス内でデバイスが共有されている場合には限界がある可能性があります。
    3. IAB Tech Labの取り組み:
      1. DigiTrust(www.digitru.st)は、標準化されたユーザートークンを活用し、消費者のオンライン体験を向上させることを目指す、広告テクノロジープラットフォームとプレミアムパブリッシャーによる中立的かつ非営利の業界横断的なコラボレーションです。DigiTrustは2018年4月にIAB Tech Labに買収され、現在はIAB Tech Labのサービスとして運営されています。DigiTrustのサービスとテクノロジーソリューションは、ランダムに生成された暗号化されたユーザートークンを生成します。このトークンは、ウェブページ上に毎日数十億もの独自のピクセルやトラッカーの代わりに、メンバー間で伝播されます。DigiTrust IDワーキンググループは、この取り組みのロードマップ策定に取り組んでいます。
      2. OTTテクニカルワーキンググループは、OTT(Over-The-Top TV)デバイス向けのIFA(広告識別子)の標準化に取り組んでいます。これにより、対応する広告在庫のアドレサビリティと測定が向上し、バイヤーが他のプラットフォーム/チャネルと同様に扱えるようになるため、OTT広告の市場シェアが大幅に拡大すると期待しています。
      3. アイデンティティ標準およびサービスとデータ透明性ワーキンググループは、(a) ユーザーレベルのデバイス グラフのデータの調達、(b) デバイス間の関連付けの信頼性の開発、(c) 標準化された一連の品質または精度の指標に関するサードパーティ ソリューションの検証、(d) デバイス間でのプライバシー コンプライアンスとユーザー同意の伝達を確保するためのベスト プラクティスの定義に使用される主要なプロセスを定義しています。
  2. アセットID – これらは番組コンテンツや広告クリエイティブに関連付けられており、消費者に何が表示されたか、または表示される予定かを把握しやすくします。これにより、適切なコンテンツが適切な個人に配信されることが保証され(競合広告や年齢に適した広告との区別など)、どのクリエイティブがどこに誰に表示されたかを正確に測定・追跡できるようになります。アセットIDは、クリエイティブに関するメタデータとIDを紐付けることで、ブランドセーフティの向上にも役立ちます。
    1. 例:Ad-IDとEIDR。これらは、すべてのパブリッシャーで使用できる独立したアセットID管理システムです。さらに、パブリッシャーは独自のアセットIDを保有している場合があり、少なくとも自社プラットフォーム内での分析に役立ちます。
    2. 課題:
      1. 標準識別子の普及不足:業界では、標準アセット識別子や標準化されたメタデータの使用が十分には普及していません。
      2. アセットがサプライチェーンを移動する間、IDが一貫して正しく渡されるようにします(例:ファイルのメタデータに保存されたID -> VASTタグで渡される -> トラッキングビーコンで送信される -> レポートデータベースに記録される)。
      3. FacebookとSnap、モバイルとOTTと放送など、様々なプラットフォームに対応するために、クリエイティブのコンテンツに軽微な変更を加える際に、異なるアセットIDを設定します。
    3. IAB Tech Labの取り組み:
      1. デジタルビデオワーキンググループは、VAST4に「ユニバーサルAdID」ノードの概念を追加しました。これにより、すべての動画クリエイティブを、米国のAd-IDや英国のClock IDなどの識別子に関連付けることができます。
      2. 私たちは、TVコンバージェンスタスクフォースの一員として、業界団体と協力し、アセットIDなどのメタデータを動画クリエイティブに埋め込む取り組みを行っています。
      3. タクソノミーワーキンググループは、広告商品のタクソノミーに取り組んでおり、最近コンテンツタクソノミーを更新しました。このタクソノミーとアセットIDを組み合わせることで、ブランドセーフティとパーソナライゼーションの実現に役立ちます。
      4. IAB Tech Lab は Ad-ID と協力して、クリエイティブ ID の使用がビデオ広告配信の効率化に役立つユースケースの定義と標準化に取り組んでいます。
  3. ビジネスID – 消費者にコンテンツや広告を提供し、サプライチェーン全体にわたって様々な機能を実行する、信頼できる、または既知のパブリッシャー、広告主、ベンダーを識別するIDです。これらのIDは主に、信頼の管理、不正行為の削減、透明性の向上に使用されます。
    1. 認証ソリューション:
      1. TAG-ID – TAG(Trustworthy Accountability Group)レジストリは、広告サプライチェーンの参加者が、パートナーに対する透明性と情報開示の水準向上へのコミットメントを示す保護されたシステムです。TAG-IDは、企業がサプライチェーン全体を通じてパートナーを識別できる、固有でグローバルかつ永続的な識別子です。
      2. 英国のJICWEBSは、透明性と信頼性を念頭に置いたプロセスを認証しています。
    2. エンティティ検証ソリューション:
      1. ads.txt(認定デジタル販売業者) – 一般的なIDシステムではありませんが、この取り組みにより、パブリッシャーは認定再販業者を識別できるようになり、広告エコシステムのクリーンアップに大きく貢献しました。オプションで、再販業者のTAG-IDも含めることができます。
      2. ads.cert – これも典型的なIDソリューションとは異なり、入札リクエストを行うパブリッシャーを識別するために使用される公開鍵/秘密鍵システムです。ads.certは、OpenRTB 3.0(リアルタイム入札)の一部としてリリースされます。

何ができるでしょうか?

  1. 説明されている様々なIDを理解し、組織にとって重要なIDを特定してください。
  2. TAG認定を取得し、パートナーと連携できるTAG-IDを取得してください。米国のIABは、不正行為や問題のある広告・コンテンツを削減するため、IAB会員にTAGへの登録を義務付け始めています。
  3. クリエイティブアセットを広告IDとEIDRに紐付け、広告配信サプライチェーン全体で確実に追跡できるようにしてください。
  4. 消費者のプライバシーとデータ品質に関するベストプラクティスを理解し、遵守してください。
  5. アイデンティティに関する取り組みへのご参加:
    1. IAB Tech LabのIdentity Standards Working GroupやOTT Technical Working Groupなどのワーキンググループに参加し、標準化されたアイデンティティサービスの定義を支援してください。
    2. 広告サプライチェーン向けのアイデンティティと信頼関連のソリューションを検討している、最近設立されたBlockchain Working Groupへの参加をご検討ください。