Googleは、AIと「E-E-A-T」と呼ばれる評価基準、さらには高度なスパム検出システムを組み合わせてサイトの信頼性を判断している。
以下は、2026年現在、GoogleのAIが具体的にどのようなポイントをチェックしているのか、その主な仕組みである。なお、以下の情報はGoogleブログでの公式発表を参考にした。
また、Googleはサイト運営者の実在性を確かめる独自の手段は持っていないようだ。実際、既存のインターネット技術では、サイトの実在性を確認することはできない。
現在、その問題の解決のために、日本のインターネットの父として知られる慶應義塾大学の村井純教授が理事長を務めるOriginator Profile技術研究組合が、サイト運営者の実在性とWebページの作成者の証明書を発行するOriginator Profileの開発と社会実装を進めている。
1. 「E-E-A-T」による品質評価
Googleは、以下の4つの要素を中心にサイトの品質をスコアリングしている。
- Experience(経験): 実際に商品を使った、あるいはその場所に行ったという「実体験」に基づいているか。
- Expertise(専門性): 執筆者がその分野の専門的な知識や資格を持っているか。
- Authoritativeness(権威性): 他の信頼できるサイトから引用されたり、リンクを張られたりしている「評判」があるか。
- Trust(信頼性): 最も重要な指標。運営者情報の透明性や、情報の正確性が担保されているか。
2. AIによるリアルタイム・スパム検出
AIモデルは、人間には気づきにくい「詐欺サイト特有のパターン」を高速で分析する。
- 不自然なパターン検知: 大量のコンテンツが短期間に自動生成(AI生成)されていないか、特定のキーワードが不自然に詰め込まれていないかをチェックする。
- 相互参照(クロスリファレンス): サイト上の情報が、他の信頼できるソース(政府機関、大手ニュースサイト、公式ブランドサイトなど)と矛盾していないか、事実関係を照らし合わせる。
- リダイレクトの挙動監視: 検索結果からクリックした瞬間に、URLが全く別の怪しいドメインへ転送される動きを異常として検知する。
3. YMYL(お金と命)への厳格な適用
「YMYL(Your Money or Your Life)」、つまりお金や健康、安全に直結するトピック(ブランド品の購入、医療情報、金融など)については、AIがより厳しい信頼性基準を適用し、少しでも疑わしいサイトは上位に表示させないようにしている。
4. ユーザーフィードバックの学習
ユーザーからの「このサイトは詐欺だった」という報告や、検索結果ですぐにブラウザを閉じて戻ってきたという行動データもAIが学習し、評価に反映させている。
5. サイト運営者の実在性確認はしていない(できない)
Googleには数万人の「検索品質評価者(クオリティ・レイター)」という人間のスタッフがおり、彼らがガイドラインに沿ってサイトをチェックしているとのことである。しかし、世界中の数兆のページすべてをリアルタイムで調査することは物理的に不可能だ。
かつては、WebサーバーのSSL証明書発行時にCA(認証局)が、登記簿謄本などをチェックしてサーバーの運営者の実在性を証明していた。
しかし、2013年に非営利団体 ISRG (Internet Security Research Group) が設立され、無料で自動化されたCAの運営を目指して活動を開始。2015年12月には、無料のサーバー暗号化サービスであるLet’s Encryptのパブリックベータ版を開始し、誰でも無料でSSL証明書の利用可能になった。
Let’s Encryptの登場により、2016年当時に約40%程度だったウェブサイトのHTTPS化率は、現在では80%〜90%以上にまで上昇したといわれている。かつては「高価で手間がかかる」ものだったSSL/TLS証明書を、「無料かつ自動で更新される」当たり前のインフラへと変えたことが最大の歴史的意義である。
その貢献の反面、現在、詐欺サイトでもSSL/TLS証明書を持つことができるため、Googleでもサイト運営者の実在性確認はできないのである。
参考文献
- Danny Sullivan(Google),”An overview of our rater guidelines for Search“, Oct 19, 2021
- Danny Sullivan(Google),”How Google delivers reliable information in Search“, Sep 10, 2020
- EmmaTools編集部,「E-E-A-T(旧E-A-T)とは?Googleが重視する評価基準とSEOにおける対策方法を解説」
- Elizabeth Tucker (Google) , “New ways we’re tackling spammy, low-quality content on Search“
- Josh Aas (ISRG), “ISRG’s 10th Anniversary”,https://letsencrypt.org/2023/05/24/isrg-10th-anniversary#:~:text=I’ve%20tried%20to%20comprehend,merged%20into%20the%20Linux%20kernel, May 24, 2023